just in case......ニューヨークを訪れるなら
アメリカ、ニューヨーク。
この都市には、世界の他の都市とは違う、大きなエネルギーが渦巻いています。
グーグルマップに表示されたニューヨーク。ギューっと2本の指で拡大してみると、マンハッタン島が見えてきます。アメリカ大陸のほんの一部。でも、このマンハッタン島には、全く違う性格の、様々な顔が存在します。それは、どこか東京に似ています。銀座、青山、六本木、渋谷、新宿、恵比寿、代官山......東京のという都会の中には、様々な顔があり、それぞれにはっきりした人格があるのです。それは、ニューヨークでいえば、ハーレム、アッパーマンハッタン、アッパーイースト、アッパーウェスト、セントラルパーク、ミッドタウン、シアターディストリクト、グレマシー、チェルシー、グリニッジヴィレッジ、イーストヴィレッジ、ソーホー、ローワーイースト、トライベッカ、チャイナタウン、そして、ローワーマンハッタン。
あるとき、インタビューで、世界のどの都市に住みたいですか?と聞かれたことがありました。ニューヨークと答えた私の、その答えの意味は、なんだったのか。それは、自分を試したい、世界一流の才能と戦いたい、という意味だったように思います。
人種のるつぼ。
だからこそ、人々は、共生するために、違う価値観を認め、他人の言葉の真の意味を汲み取り、自分の主張を持ち、強くありながら、他に寛容でなければならない。
この環境が、ニューヨークを限りなくクリエイティブにするのではないか、とわたしは思っています。
さて、ニューヨーク、もし、混み合わないウィークデイに、話題の美術館やギャラリーを周り、そして、ブルックリンまで足を伸ばしたり、ビルが立ち並ぶ街を気の向くままに一人で巡るなら、クールなストリート感のあるダウンに、ニット帽、ゴツめのブーツにパコラバンヌのフェイクレザーの巾着バックが似合いそう。
そう、あのローワーサイドまで、自転車で行くなら、トライベッカの赤いレンガに、パープルのダウンはなかなかクールな好相性。
ニューヨークは、スポーティなおしゃれが似合う街。
そして、今頃、街は、クリスマスイルミネーションに湧いているころ。
Down Jacket Nina Ricci / Knit Aliquam / Pants Cinoh / Shoes Veronique Branquino / Bag Paco Rabanne
大切にしたい、その日のためのワードローブを。
just in case......晴れた休日の朝に出かけるなら
晴れた日の朝の東京。
明治神宮のあたりから、表参道の交差点まで行く道は、広くて、光がサンサンと降り注ぎます。
街路樹の樹々に沿って歩くと、車道の上に広がる広い空が気持ちがよく、とくに、クルマも人も少ない早朝には、昼間の風景とは全く違う、神聖なほどの澄み切った空気が流れています。
若者の街、原宿を抜け、表参道の交差点に近くにつれ、ハイブランドが多くなり、急に大人の香りがしてきます。
そういえば、東京に出てきたばかりの頃、この辺りに、"Aux Bacchanales"があり、わざわざ、この交差点でコーヒーを飲む為に、おしゃれをして出かけたことを思い出します。フランスの街角に来たような感じで、ざわざわしたその雰囲気の中に、ファッション関係のおしゃれな先輩たちがたくさんいらして、小さく座ったわたしは、小説を読んでるような、読んでないような......。
ファッションの仕事に携わるようになり、もう、約20年弱、表参道にほぼ毎日通っているわたしにとっては、あの時の景色と少し違うけど、でも、やっぱり、気持ちがよくて、特に、朝の表参道散歩がおすすめ。
11時ごろ、周囲のカフェがオープンする時間に合わせて、交差点に到着すると、ハイファッションに身を包んだ、日本の素敵なマダムがちらほら。広い表参道を眺めながら、コーヒーを半分くらい飲んだら、読みかけの小説を。
そんな優雅な1日の始まりには、優しい気持ちになれる、ピンク色のカシミアローゲージニット。それに、フレンチテイストの浅いブルーのデニムをロールアップ、ピンクのカシミアによく合う、パープルのパンプスにして。カラーストーンの華奢なリングの重ねづけがローゲージのカシミアと好相性。
コーヒーを飲み終わったら、ランチで混み合う前に、次の目的地に出発。
カフェが混み合う前の静かで贅沢なつかの間、自分のための、贅沢なカシミアが素敵。
just in case......
Knit Wendelborn / Denim Vanessa Seward / Shoes Manolo Blahnik / Rings Dorette / Bag Delvaux
大切にしたい、その日のためのワードローブを。
just in case......銀座で打ち合わせがある日には
数寄屋橋の交差点に、2016年3月末、ストラスブルゴ銀座店が出来ました。銀座店をベースにするようになって、約1年半が経ちました。毎日のように見る、この交差点の風景、なんともレトロで、整然としているようで、混沌ともしているようで、新しいビルがどんどん建っている中で、古いものと新しいものが同居し、老舗画廊から、小さくて本格的なアートスペースが点々とあり、劇場や、歌舞伎座まである、この銀座という街。
東京駅からもほど近く、様々な地区から、様々な人が、様々な用事で訪れる街。
だから、歩いている人は、青山のような、ある種統一感はないものの、だからこそ、日本の縮図のような、、、、、、。
新宿や渋谷のような雑多な感じがなく、どこか、優雅さが残るのは、きっと、本物を追求している志の高い人たちがこの街に粋を感じているからではないか、と思うのです。東京駅、皇居へつながる、広く堂々とした車道と、都会の中に、これも堂々と存在する庭園。日比谷公園など、皇居のお堀や、広がる緑が隣接する都市。
そういえば、わたしが育った札幌にも、大きな交差点があり、大通り4丁目という交差点。この角には、銀座と同じく、三越のライオンがいて、向かいには、4丁目プラザ、札幌パルコがありました。出かけるときは、その街角の交差点に、今日はどんな服で立とうか、なんて考えていたことを思い出します。
例えば、この古い伝統と、新しい文化が共存する銀座の高層ビルのラウンジで、空が青く暗くなりかけた夕方に待ち合わせをするとしたら、少し、キリリとした色合いに、凛とした自信を後押ししてくれるパールのネックレスに、高めのヒールを合わせて。様々な色の光が集まる銀座の夕暮れ、仕事の打ち合わせが終わったら、une coupe de champagneでも。
木枯らしが吹く、12月に、そんな夕暮れも。
Knit Aliquam / Skirt The Hyaline / Bag Nina Ricci / Shoes Nina Ricch / Gloves Causse / Necklace Stephen Dweck
大切にしたい、その日のためのワードローブを。
just in case......もし、週末に美術館へ行くなら
ワクワクすること。
それは、美しいものに出会うこと。見たここともないものに出くわすこと。びっくりすること。
だから、美術館へ行くと、ワクワクします。あることに没頭し、研ぎ澄まされた人間の集中力から生まれる、閃光のようなものが凝縮している場所。
今、六本木ヒルズの21.21Design Siteで、『野生展』が開催されています。
人類学者、中沢新一氏がディレクションする野生展は、とても興味深く、「飼いならされていない心の領域が、どこかに生き残っている。」それを人間の中の「野生の領域」と呼ぶ。
頭をガツンと後ろから撃たれるような、衝撃とともに、なぜか涙が溢れてくるような、素晴らしい展覧会。
もし、週末、この展覧会に出かけるとしたら、どんな服が似合うだろうか。
薄く、キレイに手入れをされた、初冬の芝を歩き、あの、冷たいコンクリートの塀で囲まれた地下空間に入り、
一歩づつ、階段を下るごとに、展示された石の呼吸や、古代の生命誕生を思わせるようなガラスのオブジェに近づいて行く。
わたしにも野生のカンが戻ってくるような、そんな体験。
きっと、力の抜けた、でも、強いフォルムを感じさせる、ニットワンビースが素敵。
そして、Wild Lifeを感じさせる、レオパードのグローブに、大地の奥深い地層から生まれたレッドタイガーアイのフープ、
あたたかいミルク色のボルサリーノを斜めにかぶってみたら素敵。
そんな妄想ワードローブ。
just in case......
Dress Mihara Yasuhiro / Pants Nina Ricci / Belt The Hyaline / Shoes Converse / Hat Borsalino / Jewelry Simon Alcantara / Gloves Causse
大切にしたい、その日のためのワードローブを。